カワチェン
Asian Classics Input Project (ACIP)
(ここでは過去にACIPより提供されていた資料を訳して掲載しています。最新の状況はACIPのホームページをご覧ください。)
ACIP(Asian Classics Input Project)では危険にさらされているインド・チベット仏教文献を保存し、これらの文献を幅広く学者、図書館、研究機関、研究者などに提供しています。



ACIPについて

●危険にさらされている伝統
  The Asian Classics Input Project (ACIP) は危険にさらされているインド・チベット仏教文献の保存、およびこれらの文献を幅広く学者、図書館、研究機関、研究者などに提供する目的で設立されました。この重要な文献は数百年の間、中央アジアで広範囲にわたって普及していましたが、好ましくない政治的、経済的状況のために今世紀にほとんど全部失われました。これらの文献の内の何冊かはこの世に残っている最後のものです。他の文献はアメリカ国会図書館などの努力により忘却をまぬがれましたが、学者たちがこれらの文献にアクセスするのはしばしば困難です。その上、これらの文献は一番よく活用できる者であるインドに難民として滞在している一万人以上のチベットの僧侶の手に届くのはほとんど不可能に近い状態でした。しかし今は全てが変り始めています。

十万ページのインド・チベット文献のバーチャル・ライブラリ
  1987年以来、ACIPは南インドのチベット難民を訓練して、危機に瀕している文献をコンピュータに入力してきました。このプロジェクトによりお寺、尼寺、一般の人々の定住地などのチベット難民コミュニティに十数カ所の入力のセンターが設立されました。現在、ACIPの電子データベースにはKangyur, Tengyur, Sungbum などからの十万ページ以上の仏教文献が入ってます。これらの入力した文献はフロッピーディスク、CD-ROM媒体やインターネットで世界中の学者や研究者に無料で提供されています。
ACIPはまた、チベット難民の人々にコンピュータによるタイプセッティングの技術を習得させています。これによってACIPのデータを利用して30冊以上のチベット仏教僧院の教科書が出版されました。そして、今はチベット難民の学僧は仏教の教育に必要な重要な本を入手することが可能になりました。これらの文献の入力作業にACIPが支払う給金は南インドのチベット難民社会の約2千人のチベット人の生活のささえにもなっています。

ロシアのサンクトペテルブルクのチベット文献の電子化目録
  共産主義者のチベット侵入後、ほんの一部のチベット仏教文献しかインドに渡ることができませんでした。そのため、インドの外でも発見や保存の必要な仏教文献を探さなければなりません。そのためにロシアのサンクトペテルブルク(旧レニングラード)にあるチベット仏教文献のコレクションの目録を作る共同作業を始めました。ACIPが制作したサンクトペテルブルクの目録には今や6万件のタイトルが含まれています。5万件のタイトルの入力終了のお祝いに1997年の9月にこの電子化目録のCD-ROMをリリースしました。入力した文献同様この目録も無償で配布しました。サンクトペテルブルクの作業にはもう10年ほどかかりそうです。

モンゴルのウランバートルのチベット文献コレクションの電子化目録
  サンクトペテルブルクのチベット仏教文献の量は膨大でほぼ20万件の文献からなります。これはモンゴルにある仏教文献に次ぐ量です。ACIPは最近モンゴルのウランバートルの二大図書館と約160万件の目録を電子化する契約を結びました。このかつてない機会が実現したのは、第一にACIPがガンデン寺の貫首(head)と密接な関係にあるためであり、第二にはサンクトペテルブルクの文献の電子化目録の努力と成果がモンゴル国立図書館の館長やスタッフによく知られているためでした。このウランバートルの二大図書館からは今後たくさんの貴重な文献が発見されるでしょう。

新たな機会とプロジェクト
  ACIPは危機にさらされてる貴重なインド・チベット仏教文献を保存する機会にたえず遭遇しています。今後もこれらの情報を世界中に無料で配布し続けることになるでしょう。
  たとえば、モンゴルでの目録作成や入力作業はまったく新しいプロジェクトです。この作業の予算の見込みはまだたっていません。一方、ロシア側の依頼でACIPはサンクトペテルブルクのチベット文献の各フォーリオ(ページ)を記録したデジタル画像を集積する作業を開始しました。
  インドのチベット難民コミュニティからは新たな入力センターの設立の要求がたえず来ています。入力センターの拡大は、用意できる資金や他の資源の範囲内に制限されている状態です。大部分の作業は情勢に影響を受けます。現時点では作業している地域の政治情勢が良く、官僚たちは好意的ですが、これらの状況はいつでも変る可能性があります。このため、この好機を最大限に利用して急いでできるだけ多くの仏教文献の保存や入力をする必要があります。

  ACIPは基本的にこれらの配布しているデータは無料としていますが、材料費および送料のために多少の寄付をお願いしています。

ACIP New York Office
Post Office Box 20373,  New York, NY  10009, U.S.A.
Tel:1-212-475-8935 Fax:1-212-477-7176
Internet: https://www.asianclassics.org/


ACIP Release VI : Searchable
ACIP Release 6 Asian Classics Input Projectのリリース 6 Searchable。(提供終了)

(2008年リリース当時の情報です) 世界中のACIPのスタッフはこの20年間に何万時間も費やして、このすばらしいテキスト・ライブラリーを準備しました。

これは、5年ぶりのリリースです。その間、ACIPでは新しいテキストの準備に集中してきました。
近い将来、リリース予定のものもありますが、このリリースではRelease VI, Release Vの内容に加え、下記が追加されました。
・サンクトペテルブルクの図書館にある文献の10万件以上のカタログ・エントリー(詳細は後述)
・モンゴルの図書館にある文献の35000件のカタログ・エントリー
・最近チェックが終わり、巻ごとにカタログ化されたテンギュルの(一部)テキスト
(密教系のテキストは関連する教えを受けた人のみ申請すると別途提供されます) ・(チベット語がわからない方向けに)いくつかのテキストの英語の訳

日本人の方にわかりやすいように、トップページのメニューとその下のページのいくつかを日本語化しました。

サンクトペテルブルクカタログ 先行リリースCD 最初の10万エントリー(提供終了)

ロシア科学アカデミの東洋学研究所 サンクトペテルブルク支部所蔵のチベット文献コレクションのデジタルカタログ
- 先行リリースCD - 最初の10万エントリー
(個別提供は終了しました。本データはACIP Release VIに含まれます。)


各文献に対するカタログの項目
通し番号、タイトル番号、チベット語タイトル、サンスクリットタイトル、他言語、印、略称、著者、出版年または著作年、形式、紙の原産地、紙の色、紙の質、印刷の読みやすさ、巻番号、テキストのページ番号、ページ毎の行数、サイズ、印刷領域のサイズ、印刷または著作された場所、図情報、あとがき情報

データ形式
カタログ:テキスト形式、データーベース用形式、Excel形式、Access形式、XML形式ファイル
印影データ(約300):tiff形式


サンクトペテルブルク カタログについて
ロシア科学アカデミの東洋学研究所 サンクトペテルブルク支部所蔵のチベット文献コレクションのデジタルカタログ
- 先行リリース - 最初の10万エントリー

Digital Catalog to the Tibetan Collection held by The Institute of Oriental Studies of the Russian Academy of Sciences, St. Petersburg Branch  Preliminary Release   The First One Hundred Thousand Entries

チベットの木版印刷されたテキストの最大のコレクションの1つがチベットから遠く離れたロシアのサンクトペテルブルクにあります。

ロシア科学アカデミの東洋学研究所のサンクトペテルブルク支部に所蔵されたこのコレクションはおよそおよそ15万の個々のタイトルがある、2万巻からなります。これらの文献は、皇帝の時代以来何世代にも渡るロシア人の探検家と学者たちによって忠実に集められてきました。また、第二次世界大戦の間のサンクトペテルブルクの3年の攻囲などのように、最も難しい時勢でさえの館員の献身によって維持されてきました。ACIPのスタッフは、このカタログを入力するために館員と共に働くために1990年代前半に最初に、このコレクションを所蔵している場所を訪問して、インドでセラ寺のセラ・メ学堂から僧を連れて来させるように手配しました。

カタログ化プロジェクトは、ロシア人の館員の指示に基づく、南インドのセラ・メ学堂からのネイティブのチベット人の学者のチームによる熱心な作業により、10年間以上の間うまくいっています。それは本当に、ロシア人、チベット人と、アメリカ人の国際的協力です。彼らは敬意と愛情をもって共に働き、この先何年もこれらのすばらしい文献と思想を研究するすべての人々に対する永久の貢献になるようにと望んでカタログを製作しています。

世界中のユーザに対するサービスとして、かかわったそれぞれの組織は親切にも、カタログデータが無償にデジタル方式で提供されるのに同意しました。このために、私たちは現在、CD-ROMで"The St. Petersburg Catalog - Preliminary Release - The First One Hundred Thousand Entries"(「サンクトペテルブルク・カタログ--先行リリース--最初の10万エントリー」)をリリースしています。電子カタログのこの先行バージョンはちょうど10万のエントリーを含んでいます。ここに提供されたデータは、すべての文献をカタログ化する仕事がまだ終わっていないので先行であり、完成するのに2年以上必要そうです。私たちは、この検索可能なデジタルカタログが研究所のチベット・コレクションへのマスターキーのようなものだと思います。そして、これにはこの分野の学者と研究者に莫大な価値があると確信しています。このため、私たちは、今この先行バージョンを利用可能にするのが重要であると感じました。

もちろん、カタログ化の努力の主要な目標は国際的な学問と研究のためにコレクションのコンテンツをオープンにすることです。このために、ACIPは文献のコピーを研究のために必要とする興味ある人々からの注文に答えられるように再生産のための装置を準備する手伝いをすることを東洋学研究所のチベット・コレクションに約束しました。これらの再生産のための装置の存在と、コピーのために学者によって研究所に支払われる料金が、後世のためにこの貴重な宝物を維持する巨額の費用を負担する助けになることを望んでいます。

CD-ROMのコンテンツ
ユーザの利益のために、カタログデータのさまざまな異なった形式がCDの上に格納されています。カタログプロジェクトが始まったときはフロッピーディスクの時代で、カタログはそれぞれ1,000のエントリーを含んでいる、複数のプレーンなテキスト形式のASCIIファイルに分割されると決められました。CD-ROMはこのオリジナルのプレーンテキスト形式を守る100個のファイルが格納されています。

●データベース・レディ、データベース形式ファイル
始めから、ユーザがそれらの好きなデータベースや表計算プログラムにプレーンテキストファイルをロードすることが予想されました。それぞれのフィールドの始まりを一つの文字のあとにコロンが続いている形式で示す私たちのシステムはこの目的を考えに入れて採用されました。そのような使用を容易にするために、私たちは現在、識別子コードありとなしの、タブで区切られたバージョンのファイルを入れました。これらのタブで区切られたレコードは、100個の別々のファイルとして提供し、また2つの5万エントリーのファイルも提供しています。

構造化された電子データの使用を例証するために、私たちはポピュラーマイクロソフトのExcelとAccessの中で使用することができるカタログのバージョンを作成しました。
スプレッドシートとデータベースプログラム(例えば、ExcelとAccess)は並べ替えや、検索、構造化された問い合わせなどのカタログデータを扱うための強力なツールを提供します。Excelではワークシートは6万5535の列に制限されるので、カタログの10万のエントリーは2つのワークシートに分割され、1つのワークシートに最初の5万のエントリー、もう片方に2番目の5万のエントリーが掲載されています。3番目のサンプルのワークシートは両方のワークシートから「GRAGS PA BSHAD SGRUB」のものとされるエントリーを掲載しています。

すべての10万のカタログ記録はただ一つのAccessデータベースの中に含まれています。また、このデータベースでは、私たちはデモンストレーションの目的のために、著者でソートするように設定されたフォームを作成しました。作者の名前の異なったバージョンがデータベースに登録されている場合には、一人の作者による複数の作品が、別々に現れるかもしれません。これは、カタログの中に様々な作者名で記載されているGRAGS PA BSHAD SGRUBによる作品を掲載したサンプルのExcelワークシートの中で見ることができます。


●XMLカタログファイル
コンピュータの専門家は最近、XML(eXtensible Markup Languageのための)と呼ばれるデータ表現のデファクトスタンダードを開発しました。この規格は、情報をカタログに載せるためによく適合します。この分野への最初のベンチャーとして、私たちは、サンクトペテルブルクCatalogのXMLバージョンを作成することに決めました。XMLフォームでのカタログの100個のファイルもCD-ROMの上に格納しました。

XMLには、容易に読み込み可能なフォームの階層構造を含む利点があります。フィールドは容易に理解できるタグで特定され、その形式でデータ構造を見ることができます。

CDには非常に基本的なレベルの、これらのXMLファイルでできることを示すデモンストレーションを含めました。私たちは、XMLカタログファイルの1つを選んで、Brief Catalogを生産するCSSスタイルシートがあるMozillaブラウザの最近のバージョンを使用してそれを処理しました。CSSファイルには、出力ファイルにどのフィールドを含むか、そして、それらのフィールドのデータがどのようにフォーマットされるべきであるかを指定しました。

●僧院の印
木版画に印かスタンプがつけられていたとき、各印には一意の識別番号が割り当てら、その存在がカタログに記録されます。これらの印の膨大なコレクションはイメージ・ファイルとしてCD-ROMに格納されました。

●Asian Classics Input Projectについて
17年間以上、Asian Classics Input Project(ACIP)は危険にさらされたチベットの文化の急速に失われつつある文書資料を保存して普及させるために亡命チベット人と共に働いてきました。これらの本(および伝統的な形式の口承)は20世紀に中央のアジアの図書館と僧院が広範囲に破壊されるまで、2000年以上世代から世代へと、生き生きとした影響力があり哲学的で文化的で芸術的な遺産を継承してきました。ACIPはこれらの重大なテキストのデジタル版を作成し、それにより、容易に配布、増刷、コピー、検索、編集、関連する資料との関連づけが可能であるコンパクトな形式でそれらのコンテンツを保存します。

1987年にACIP創設者マイケル・ローチとプリンストン大学からの他の研究者たちは、インドに再建された僧院大学の亡命チベット人の僧と共に南インドで共同で、木版書籍をデジタル化し始めました。それ以来、正確で検索可能なテキストのおよそ15万ページをからなる2,200以上の別々の著作が、入力されて、格納されて、自由に世界中の何千人ものユーザに配布されています。

サンクトペテルブルクのカタログ化プロジェクトをモデルとして使用し、ACIPはまた、並はずれたチベット・コレクションがまだ現存しているロシアとモンゴルの主要な図書館におけるカタログ化への活動に従事しています。ACIPはおよそ200人の(ほとんどインドの)亡命チベット人たちに近代的なコンピュータ設備を使用し、トレーニングを提供しています。そして、チベットの言語の材料の入力と表示のための特別なコンピュータ・プログラムの開発ににおいては最先端にいます。南アジアでは、このプロジェクトによる給料と奨学資金がチベットの再定住キャンプの何百人もの人々に直接の利益をもたらします。

●研究リソースシリーズ
ACIPは辞書、カタログ、伝記資料、歴史的資料や、重要な古典アジア文献が世界のどこかに存在していることを示す助けになる資料など、大量の参照文献の入力(そして、ライセンス)するために協奏的な努力をしてきました。
サンクトペテルブルクコレクションのデジタル・カタログ(先行リリース)はACIPのResearch Resourcesの新しいシリーズとして発行されました。


Asian Classics Instituteテキストによるチベット語で学ぶ仏教
ACI(Asian Classics Institute)は、仏陀の教えを真剣に勉強し、修行することを目的として、ACIP(Asian Classics Input Project)の創立者により設立されました。

六つの仏教書のエッセンスを正式なコース(教材)として15シリースに要約し、ニューヨークで七年間に渡って教えてきました。

ACIでは、正式なコース(教材)を、参加できなかった人が利用できるようにするために、オンライン・コースを用意しました。これにより、どこに居ても、自分のペースとめざすレベルに合わせて幅広い仏教の学習を遂行することができます。

ただ、これらの教材はとても役に立つものですが、真剣な仏教の修行者にとって、資格のある先生と会い、修行する教えの系統に関して必要な指導や個人的な指導を直接受けながら勉強することが非常に重要であることを、ACIも強調しています。

カワチェンでは、ACIの許可を得て、上記コースのうち、下記のコースの一部の日本語訳をボランティアの方のご協力により用意しました。

CourseT:仏教の根本教理
はじめに ─マンダラ・帰依と発菩提心・廻向・供養─(PDF)

(1)ツォンカパ著 『道の三つの根本 [lam gyi gtso bo rnam gsum]』(PDF)
 
  「ゲシェー・ロプサン・タルチン師による序文」(PDF)
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